マンションにおける大規模修繕工事のタイミング

マンションの大規模修繕工事時期について、法律上で年数が決められているわけではありません。

大規模修繕工事の時期はマンションの劣化具合によって異なります。
修繕時期には、建物の構造や使っている塗料の種類・立地条件・毎日の管理状態が影響します。
ケースごとに的確に劣化状況を判断し、修繕すべきタイミングを見極めることが重要です。

一般的には 12年周期が目安となります。
これは、建築基準法において「 築年数10年を経過した外壁タイル貼りのマンション場合、3年以内に外壁の打診調査を行う必要がある」と定められていることが関係していると考えてられています。

外壁の全面打診調査を行うには足場が必要なため、同じように足場が必要な大規模修繕工事をこの機会に実施することが多くなっています。

 

マンション大規模修繕工事の5つの内容

マンションの大規模修繕工事では主に5つの工事が行われます。
具体的に見ていきましょう。

 

【大規模修繕工事の内容1】仮設工事

仮設工事は、工事を行うために必要な設備などのことをいいます。
つまり「工事のために設置されるが、工事が終わるとともに撤去されるもの」です。

具体的には、大規模修繕工事に必要な足場・建物を覆うメッシュシート・仮設トイレ・資材置き場などです。

 

【大規模修繕工事の内容2】下地補修工事

下地補修とは、コンクリートやモルタルの亀裂・はがれ・鉄筋のサビなどについて、防水工事を行う前に補強や補修する工事のことをいいます。
例えば、亀裂であれば、ポリマーセメントを刷り込んだりエポキシ樹脂を注入するなどの処置を行います。

下地補修工事は、建物の寿命や耐久性に大きく影響するとても重要な工事です。
下地補修が適切に行われていなければ、工事完了後の仕上がりに問題がなくても早い段階で劣化が目立ち始めることになります。

補修する際は、症状を見極め、的確な処置をすることが求められます。

 

【大規模修繕工事の内容3】シーリング工事

シーリング工事とは、サッシ廻りや外壁・タイルの目地にあるゴム状のシーリング材を打ち替えたり打ち増したりする工事のことをいいます。

シーリング材には伸縮性がありますが、劣化が進んでくると硬くなってくるので、壁とシーリング材の間に隙間ができてしまいます。
ここから雨が建物内部に侵入すると、漏水が発生したり建物自体を急速に劣化させたりする原因となってしまうことがあるので注意が必要です。

シーリングが劣化すれば「建物の寿命を脅かす劣化」につながる可能性があるため、シーリングについても10~15年を目安に定期的な工事が必要になります。

なお、シーリング工事には足場が必要ですので、コスト削減のために大規模修繕工事と一緒に行うことが経済的です。

 

【大規模修繕工事の内容4】塗装工事

塗装工事では主に外壁や鉄部を塗装する工事を行います。
塗装をすることで美観を保つのはもちろんのこと、塗膜自体の防水機能を高め、建材や躯体を保護することにもつながります。

現在は「遮熱効果」や汚れにくい「防塵塗装」、汚れを雨で落とす「セルフクリーニング効果」など、さまざまな機能性をもった優れた塗料が開発されています。
大規模修繕の際には、目的に応じた塗材を選ぶようにしましょう。

マンションの外壁塗装については「【マンション】こんな症状が出たら注意！外壁塗装が必要な劣化の6つのサイン」で詳しく解説しています。
マンションでよく見る代表的な劣化症状について知ることができるので、ぜひあわせてご覧ください。

 

【大規模修繕工事の内容5】防水工事

防水工事とは、屋上やバルコニーなど外部にさらされている床面について「防水処理」を行う工事のことをいいます。
防水には、シート防水・FRP防水・ウレタン防水など様々な種類と特徴があります。
防水工事を行う際は、現在使われている防水との相性や劣化状況によって、適切な施工法を選ぶことが大切です。

マンション防水については「ビル・マンション大規模修繕工事】屋上防水の種類（FRP・ウレタンなど）と施工業者の選び方」で詳しく解説しています。

適切な防水の選び方について知ることができるので、ぜひあわせてご覧ください。

 

マンション大規模修繕工事の流れ

ここでは、一般的な大規模修繕の流れについてまとめていきます。


計画から着工まで
　1. 修繕工事委員会の設立
　2. 建物調査診断
　3. 工事内容と範囲を検討
　4. 業者決定
　5. 工事の説明会
　6. 近隣への挨拶
　7. 着工

上記のような流れで進めていくと、スムーズに事が運びやすくなります。
適切な工事を行うためにも、工事前には正しく現状を把握しなくてはなりません。
調査は専門業者に依頼し、報告書を提出してもらうようにしましょう。

また、工事への理解を得るためには工事説明会がとても重要となります。
このステップを省略するとクレームが発生しやすくなるため、説明会は丁寧に執り行うことが大切です。

着工から完工まで
　1. 足場の設置
　2. 高圧洗浄
　3. 養生
　4. 下地処理
　5. 外壁塗装（下塗り・中塗り・上塗り）
　6. 竣工検査
　7. 足場の解体

各工程の詳細については、「【マンション】外壁塗装工事の費用相場は？工事のタイミングや施工業者の選び方も解説」で詳しく解説しています。
ぜひあわせてご覧ください。

 

マンション大規模修繕工事の費用

費用は、マンションの管理組合が毎月徴収している「修繕積立金」で支払われます。
大規模修繕工事にかかる費用は、マンションのグレードにもよりますが、1戸あたりは100～125万円程度となることが一般的です。
ただし、戸数の少ないマンションの場合はこれより割高になる可能性もあります。

外壁塗装を含めた大規模修繕の費用は「【マンション】外壁塗装工事の費用相場は？工事のタイミングや施工業者の選び方も解説」で詳しく解説しています。
ぜひあわせてご覧ください。

 

マンションの大規模修繕工事で起こりがちな4つのトラブル

マンションの大規模修繕工事では、たくさんの人や金額が関わってきます。
そのため、トラブルに巻き込まれやすくなります。
ここでは、よくあるトラブル4つについて解説します。

 

【トラブル1】修繕積立金の不足

大規模修繕工事でよくあるのが、修繕金不足の問題です。
長期修繕計画に基づき、管理組合がマンション居住者から毎月定額の修繕積立金を徴収することが一般的です。
しかし、修繕積立金を安く設定してしまっていた場合、いざ工事を行うときに必要な費用が不足してしまうことがあります。

解決方法としては
　●不足分を「一時金」として居住者から追加徴収する
　●工事内容を見直す
　●住宅金融支援機構に融資をうける
　●工事金の一部について、国や地方自治体の助成金を利用する
などがあります。

追加徴収や工事内容の見直しは、住民説明会で居住者の理解を得ることが必要です。
このようなトラブルを回避するためにも、長期修繕計画は定期的に見直し、適切な集金計画を建てることが何よりも重要となってきます。

 

【トラブル2】居住者・近隣からのクレーム

工事中は騒音や埃が発生するため、居住者や近隣の方にストレスをかけてしまうことになります。
クレームが発生した場合は、迅速に対応するようにしましょう。

なお、説明会・挨拶・報告など、丁寧な対応をすれば、クレームはある程度未然に防ぐことができます。
例えば、工事の騒音や振動などが発生しやすい時間などについては、あらかじめ具体的に知らせて置くと安心です。

 

【トラブル3】施工業者の問題

大規模修繕工事の施工業者の選定を誤ると、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。
以下が主なトラブルです。
　●工期が大幅に遅れる
　●費用を追加請求される
　●知識や管理が不十分で施工不良が起こる
　●工事途中で倒産する
　●保証などアフターフォローがない

業者選びは慎重に行い、工事の計画・工事後のフォロー・具体的なトラブルへの対応についても事前に確認しておくようにしましょう。

 

【トラブル4】防犯の問題

大規模修繕中は足場を設置するため、外部からの侵入が簡単になります。
空き巣などのトラブルも発生しやすくなるため、足場開口部に施錠をしたり、養生シートを金網で養生したりするなどの防犯対策を行うことが大切です。
対策の方法については、施工会社によって様々ですので、事前に確認しておくと安心ですよ。

【参考記事】あわせてご覧ください。
★大規模修繕は義務！？目的やメリット、よくあるトラブルをご紹介

★ マンションの大規模修繕工事を検討している方必見！事前に行うべき建物診断について

 

 

まとめ

今回は、東京都のマンションで大規模修繕をお考えの方必見！マンションの大規模修繕工事について
　●タイミング
　●工事内容
　●費用
　●起こりがちなトラブルと対策
についてまとめました。

大規模修繕工事は、住民の安全や建物の寿命に影響する大切な工事です。
劣化調査や修繕工事では、専門性や適切な判断が求められます。
もし、業者選びを間違った故に取り返しのつかない事態となってしまうので注意が必要です。
そのため、大規模修繕は計画や調査段階から適切なアドバイスをうけて十分に準備を行わなければなりません。

ベストウイングテクノは、創業以来60年以上にわたり大規模修繕工事を行っております。
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